カヤックルールとマナー

〜 ルールとマナーを守って安全にカヤックを楽しむ 〜

近年、日本でもカヤックを含むミニボートのような手軽に楽しめる乗り物が増えてきました。
しかし残念なことに、一部の方のマナーを無視した行動により、既にミニボートやカヤックが禁止にされてしまっている場所があり、そういった場所が年々増えてきているのも現実です。
カヤックを長く安全に楽しむためにも、一人一人がルールやマナーを知り、守っていくことが大事です。

カヤックに乗る際の服装

カヤックに乗る際の服装例をご紹介します。
ここに掲載しているのは、あくまでも服装の一例で、対象エリアは関東とその周辺です。
カヤックに乗るエリアや、その日の気温・天候に合った服装を考慮の上お出かけください。

冬の服装(例)

ドライスーツの下は…
上:吸収速乾性シャツ1~2枚+フリース
下:吸収速乾性タイツ+薄手の防寒パンツ+登山用ソックス2枚履き
水中ではなんと空気中の20 倍以上の早さで体温が奪われていくそうです。万一の落落水の時に、泳ぎやすく、保温性があり低体温症を防⽌止できるウェアは冬の必須条件です。


春・秋の服装(例)


暖かくなってきたら、日焼けや熱中症に注意しましょう。過度の日焼けを防⽌止するために、なるべく肌の露出を控えたウェアを選ばれると良いでしょう。


夏の服装(例)

こちらでご紹介した服装はあくまでも例ですので、カヤックを楽しまれるエリアとその日の気温・天候によって、調整してください。

カヤックに乗る際の持ち物

どんなアウトドアアクティビティーにも危険はつきものです。そのため、ここでは安全確保に有効とされる持ち物をご紹介します。(Kayak55.com 赤澤さんにお話を伺いました)

・防水ケースに⼊入れた携帯電話

緊急時に海上保安庁に連絡をするために無くてはならないものです。リーシュコードにつけて、PFD のポケットに⼊入れておきましょう。(⾝に付けておかないと、カヤックと⾃自分が離離された時に連絡⼿手段を失うことになります)

・ホイッスル

緊急時に他船や同行者に気付いてもらうために必要なツールです。人間の声はなかなか通りにくく、また大声を出し続けることで体⼒力を消耗してしまいます。ホイッスルは髪を結ぶゴム紐などに通して身に付けておくと良いでしょう。

・防水仕様の腕時計

⽇没時刻や潮流が変化する時刻、⾵が変わる時刻などを把握するのに必要です。

・レスキューナイフ

ロープ類が自分に絡まってしまった時に切るためにあると便利です。

・パドルリーシュコード

釣りをしている際にはパドルから手を離します。そのため、パドルリーシュコードで繋いでおけば、パドルの流出が防げます。

・スペアパドル

万⼀、パドルが折れたり流出した時のために用意しておくと便利です。

・GPS

漕いでいるスピードの把握や、カヤックが風や潮で流されているスピードを把握するため。また、出艇地までの距離を把握したり、出艇地へ正確に戻る為にも有効です。(もちろん釣りのポイント把握にも有効です)

カヤックを安全にお使いいただくために

・カヤックの取り扱い

バイキングカヤックは簡単に楽しくお使いいただくことができます。
しかし、どんなウォータースポーツにも危険はつきものです。
既にカヤックや他のボートの使 用経験がある方はご存知のことと思いますが、初めてカヤックをご使用される方は、ご使用前に、自治体や協会、その他色々な団体が提供している小型ボートや マリンスポーツに関する安全情報を確認の上、ご使用されるようにしてください。

・情報の共有・リサーチ

カヤックをしに出かける際には、安全のためなるべくグループで行くようにしましょう。
そして、どこでカヤックをするのか、帰り時間は何時頃になるのかを、誰かに伝えてから出かけましょう。
カヤックをしに出かける予定を立てたら、潮流、海岸線の形状、障害物の有無など、カヤックをする場所の状況をよく調べてから出かけるようにしましょう。

・服装・装備

カヤックをする際には、常にライフベストやライフジャケットを着用してください。
また、サーフィンや急流、波が荒れている場所や岩場でご使用される際には、ヘルメットを着用してください。

・安全確認・使用方法

カヤックを水に浮かべる前に、水が入らないように全てのハッチがしっかり閉まっていることを確認してください。
パドルが流されないように、パドルはパドルラインでカヤックにつないでご使用ください。
但し、カヤックサーフィンをする際には、カヤックラインは使用しないでください。

・自身のスキル

カヤックを使用する前に、その日の天候や水の状態が、ご自分のスキルに適しているかどうかを判断することは非常に重要です。
カヤックの経験が浅く、まだパドル操作に慣れていない間は、特に注意してください。

最初は湖などの波のたたない穏やかなコンディションにて、カヤックに徐々に慣れていただくことをお勧めいたします。

・当日の天候・状況

水上では、気温は低く、日射しは強く感じられる傾向があります。
その日の天候に合った服装やグッズを活用して、身体を保護するようにしてください。
カヤックをしている最中には、天候の変化にも気を配るようにしましょう。
沖へ吹く風などは、天候が変化する合図でもあります。

・自分に合ったスタイルを身につける

カヤックに乗り込むのは、水中で高い安定性を発揮するハルの形態により、水の中からの方が簡単です。
しかし、ご自身にとって最も簡単だと思う方法 を見つけるために色々な方法を試してみて下さい。
また、万一転覆した時に慌てず対処できるようになるために、初めに浅い場所でシミュレーションをしたり、 対処方法を習得されることをおすすめします。

ライフジャケットの着用

予期せず落水した場合、ライフジャケットは皆さんの命を守る重要な要素となりますので、必ず着用してください。
国土交通省のサイトによると、ライフジャケットを着用して海中に転落した場合は、ライフジャケット未着用の場合と比べて生存率が約3倍も高く、逆に未着用の場合は死亡率が約5倍も高くなる結果となっているそうです。
ライフジャケットを選ぶ際には、カヤック用に製造されたものを選ぶようにしましょう。
それ以外の用途のために製造されている製品は、再乗艇の時に邪魔になることがあるため、万が一の時に危険を増やしてしまう可能性がありますので、気をつけてください。

 

低体温症に気を付けましょう

落水等で、長い時間水中にいると、熱を奪われ身体深部の体温が下がってしまいます。
その結果、運動能力や思考能力が低下し、思わぬ水難事故に繋がることがあります。

水中では、空気中と比べて約20倍の速度で体温が奪われていきます。
夏でも地域や気候により低体温症になる可能性はありますが、特に水温気温が下がる季節には、万一の落水に備え、泳ぎやすく保温性が高いウェットスーツやドライスーツを着用し、低体温症のリスクを減らすように心がけましょう。

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カヤック乗艇時、安全確保のために有効な持ち物の一例

1.防水ケースに入れた携帯電話(リーシュコードにつけて、PFDのポケットへ)

2.ホイッスル(髪を結ぶゴム紐等に通して身につけておく)

3.防水仕様の腕時計(日没時刻や潮流が変化する時刻、風が変わる時刻を把握する)

4.レスキューナイフ(ロープ等が自分に絡まってしまった時のために)

5.パドルリーシュコード(パドルの流出を防ぐ)

6.スペアパドル(万一、パドルが折れたり流出したりした時のために)

7.GPS(漕いでいるスピード、流されているスピードの把握のため。また、出艇地までの距離の把握や、出艇地へ正確に戻るためにも有効)

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出艇前の天候のチェック

出艇前には、必ずその日の天候や海、川、湖など、カヤックに乗るフィールドの状態を確認し、決して無理な出艇はしないようにしましょう。
また、急激に天候が変化することがあるため、カヤックに乗っている最中にも、天候の変化に気を配るようにし、天候が荒れてきそうな時には早めに岸に戻るようにしましょう。

危険海域に注意

カヤックでの釣り場には座礁しやすい暗礁などが多く潜んでいます。
暗礁の周りは潮の流れも複雑で、うねりのある日には、突然下から突き上げられて転覆したり、岩にたたきつけられたりする危険性がありますので、事前に海図などで下調べを行い、波の立ち方などをよく観察して、危険海域には絶対に近寄らないように注意しましょう。

航路周辺は釣り禁止

海の上では大きい船ほど影響力があります。
また、大きな船ほど死角が多く、回避行動も容易には出来ません。
特に進行方向は船首が上がり死角になります。カヤックは高さが無いのでこの死角に入りやすく大変危険です。
最近ではポイントを入力して自動操舵する船なども多く見られるようになりました。
そのため、「向こうが避けてくれるだろう」という推測は大変危険です。“大きな船からは、カヤックは見えていない”と思い、むやみに近づかないようにしてください。
衝突だけでなく、近くを通った船が出す引き波も危険です。
近づいてくる船が無いかを常に確認し、自ら回避しましょう。
航路での釣りは厳禁です。岬は大回りする、堤防付近は釣り人の邪魔にならないよう(錘が飛んでくると危険)近づかないようにする等を心がけることも大切です。

フラッグの使用

バイキングカヤックでは安全にカヤックを楽しんでいただくために、サービスでフラッグをお付けしています。
先にも述べた通り、カヤックは高さが低く、小さなうねりや波で周りから全く見えなくなってしまいます。
海での使用には、目立つ色のカヤックをお勧めしていますが、帽子や服装などもなるべく目立つ色の物を着用するようにしましょう。
そして、海での出艇の際には、必ずフラッグを装備してください。フラッグを付けることで他の船からの視認性をある程度向上させることができます。
(但し、場所によっては標準装備のフラッグでは効果が得られない場合もあります。その場合は、2mのフラッグポールに反射性オレンジのフラッグがついたKayak55さんオリジナルフラッグ又は同程度のフラッグをお勧めしております)

漁業設備への係留は禁止

イケス、定置網、刺し網など、海には漁業施設のブイやロープが沢山あります。
それらの中には、指定区域として法的に保護されている物もあります。
中には、地元のボート屋さんと漁協さんとの約束で、そのボート屋さんのお客様がボートを係留していても黙認されているような場所も有りますが、個人のカヤックは部外者と見なされ即刻撤去するよう指導されます。
漁業設備への係留は禁止ですので、例え他のボートが係留していても真似をして係留するのは、絶対にやめましょう。

車の駐車や駐車場の利用について

違法駐車は絶対やめましょう。
駐車して良い場所でも、他の人の迷惑となる場所に駐車をして、出艇準備をしたりしないようにしましょう。
また、早朝のアイドリングやカーオーディオの音量などで、周辺の住民の皆さんの迷惑にならないように注意しましょう。
混雑する時期には、多くの人が駐車場を使えるように、長時間の駐車を避け、駐車したまま長時間凪待ちをしたり、立ち話をしたりしないようにしましょう。

ゴミは持ち帰る

ゴミは必ず持ち帰りましょう。
タバコの吸殻や空き缶、プラスチック容器など、砂浜や駐車場には残念ながらたくさんのゴミが捨てられています。
カヤックを片付け終わったら、帰る前にもう一度辺りを見回し、ゴミをそのままにしていないか確認し、自分のゴミはきちんと持ち帰るようにしましょう。

ローカル・ルール

各漁協では稚魚の放流など、魚を増やす取り組みをしています。
そしてそれらの魚を保護する為、禁漁期間や禁漁区などを定めたローカル・ルールというのが各地に存在します。
但し、これらのルールは一般的に流布されているものが少なく、現地の漁師さんや釣り具店などを訪ねて初めて知るなど、事前にすべてを知っておくことは非常に難しいのが現状です。
しかしそこで「知らなかった」と言ってマナー違反を犯していては、個人のマナー違反が延いてはカヤックフィッシャーマン全体の問題として問題視されかねません。
実際に、マナー違反でカヤックフィッシング禁止になってしまった場所もたくさんあります。
日本では、カヤックはまだ比較的新しい乗り物です。長年、海を守ってきた漁師さんや釣り場を敬う謙虚な気持ちを持ち、マナーやルールを知り、それらを守った上で楽しむことが大切です。
個人の行動が、ご自身のカヤックライフだけではなく、全てのカヤックアングラーのカヤックライフに影響を与えるものだという自覚をもって、行動するようにしましょう。
ルールがわかない時には、以前、その場所で出艇したことのある経験者にアドバイスをもらうことも有効です。
皆さんが、長く安全にカヤックライフを楽しむことができるよう、一人一人が責任を持って行動するようにしましょう。

カヤックルールとマナー2023
「カヤックのルールとマナー」PDF版のダウンロードはこちらから

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リンク集

海上保安庁

・安全な航海のためにー安全とマナーのチェックポイント

>http://www.kaiho.mlit.go.jp/syoukai/soshiki/toudai/navigation-safety/check_point.htm

・安全な航海のためにーマリンセーフティガイド冊子ダウンロードページ

>http://www.kaiho.mlit.go.jp/syoukai/soshiki/toudai/navigation-safety/handbook.htm

・国土交通省海事局 — ミニボートの適正な利用に向けて

>http://www.mlit.go.jp/maritime/senpaku/miniboat/

・全国漁業共同組合連合会(JF全漁連)— 海のルールとマナー教本

>http://www.zengyoren.or.jp/cmsupload/press/65/20120518uminoru-rutomana-dokuhon.pdf

・公益財団法人日本釣振興会 — 釣り人にとってのルールとマナー

>http://www.jsafishing.or.jp/thought/rule.html

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